特集は「樹上の生活者」
「アニマルパスウェイ」~ 森と森をつなぐ人口の「けものみち」
セブン‐イレブン記念財団が発行する広報誌【みどりの風】の2022年春号で「アニマルパスウェイ~動物の命をつなぐ森の架け橋」の記事が掲載されました。
道路や鉄道はわたしたち人間にとっては便利ですが、樹上に暮らす動物たちには深刻な脅威を与えています。この特集では、樹上動物を守る取り組みとしての「アニマルパスウェイ」と、その設置にいたる背景、研究と工夫、普及活動について、次のような内容がより詳しく紹介されています。
八ヶ岳山麓の「アニマルパスウェイ」
日本の森林面積は国土の約八割で、世界有数の豊かな森を持っています。
そして、そこにつらなる道路では、森の動物などの道路上での轢死(れきし)事故による「ロードキル」が増えています。また、道路などで森が分断されることにより、いきものの遺伝子の多様性が失われことが危惧されています。
八ヶ岳山麓にある「アニマルパスウェイ」は、こうした危機から森の動物を救うためのユニークな取り組みです。北杜市の「アニマルパスウェイ」1号機では、ヤマネが3か月に800回渡ったことが記録されています。また「アニマルパスウェイ」を利用する樹上性の小動物には、夜行性のヤマネやヒメネズミ、昼行性のニホンリスなどの哺乳類だけでなく、キビタキやビンズイ、シジュカラといった野鳥たちも羽を休めています。
各地のアニマルパスウェイ
「アニマルパスウェイ」には、その原型となる、清里高原の「アニマルブリッジ」の建設(山梨道路公社、1998年)があります。そののち、民間企業が協力して「アニマルパスウェイ研究会」を発足し、以来、普及のための有効性と大幅なコストダウンを目指す「アニマルパスウェイ」の研究・設置を行っています。同研究会は橋の形状や設置場所の調査・研究、設置後のモニタリングなどに継続的に取り組んでいます。
「アニマルパスウェイ」は現在、国内に7ヵ所(うち北杜市3ヵ所)、海外(イギリス)に1ヵ所設置されています。また現在、新たな設置場所の研究調査も進めています。
イギリスの事例
「アニマルパスウェイ研究会」が作成した設計図を参考に、イギリスの環境保護団体が、鉄道の線路上に設置しました(イギリス・ワイト島)。
岩手県の事例
岩手県盛岡市の国道の上に、全長35mの「アニマルパスウェイ」が設置されています。その下では、一日平均約3万台の車が通ります。設置後16日で、リスの利用が確認されました。
三重のわ(アニマルパスウェイ)
近年では、地域の特性を考慮した、新しいタイプの「アニマルパスウェイ」も設置されています(国交省、2021年)。これは、三重県の国交省による9年間のヤマネの学術調査をもとに設計されました。この「アニマルパスウェイ」は『三重のわ』と名づけられました。そのコンセプトは”開発とヤマネとの共生の和”を願ったものです。
当会では、ヤマネをシンボルに、環境教育と連携した「アニマルパスウェイ」の普及啓発を、一般社団法人 アニマルパスウェイと野生生物の会と共に進めています。
私たちは、森の分断による悪影響から小さな生き物を守るため、そして持続可能な社会のために、日々取り組んでいます。
セブン‐イレブン記念財団について
一般財団法人セブン‐イレブン記念財団は、セブン‐イレブン創立20周年記念事業として、
セブン‐イレブン加盟店と本部が一体となって、環境をテーマに社会貢献活動に取り組むべく設立されました。