ヤマネを守ることは、森を守り、みんなを守る。ヤマネ・いきもの研究所の サイトへようこそ!

研究論文と発表

  1. HOME >

研究論文と発表

私たち、ヤマネ・いきもの研究所では、ヤマネをはじめとした多くの生き物について、様々な研究者と共に研究を行っています。これからも、私たちの研究情報をこちらのページにアップしていきますので、是非、お楽しみにしてください。

※ダウンロードできる論文は、論文題目や掲載誌の横に【PDF】と記載されています。

論文

学術論文研究論文紀要論文

霊長類学誌 Folia Primatologica(フォリア・プリマトロジカ)掲載

論文「Mitigating the effects of road construction on arboreal Japanese mammals: benefits for both wildlife and people」の概要

Fragmentation of forest habitat has negative effects on arboreal mammals, compromising their natural dispersal and foraging movements. This paper describes an evolving series of mitigation measures aimed at creating cost-effective continuity pathways for arboreal mammals in Japan. The projects have focused on the endemic Japanese dormouse (Glirulus japonicus) a scarce, but popular and iconic species which provides an effective vehicle for environmental education and public engagement.

抄訳:森林生息地の分断は樹上性哺乳類に悪影響を及ぼし、彼らの自然な分散と採餌の動きを損なう。本論文では、日本における樹上性哺乳類のための費用対効果の高い継続的な経路を構築することを目的とした一連の緩和策について述べる。このプロジェクトでは、日本固有のヤマネに焦点を当てた。ヤマネは希少種であるが、人気が高く、象徴的な種であり、環境教育や市民参加のための効果的な手段を提供している

学会:イギリスの霊長類学会
論文題目:Mitigating the effects of road construction on arboreal Japanese mammals: benefits for both wildlife and people
(抄訳:道路開発に対する日本産樹上性哺乳類のための歩道橋の開発:野生動物と人との共生を目指して)
著者:Shusaku Minato, Koichi Otake, Kazuaki Iwamoto, Haruka Aiba, Yoichi Sonoda, Shinji Oda, Hiroyuki Komatsu, Manami Iwabuchi, Yoshiharu Sato, Junko Sechibaru, Mieko Yoshida, Atsuhiro Okuda, Osamu Yamamoto, Sayo Iwamoto, Yoshito Kobayashi, Kazuo Fujiyama, Tsuyoshi Kinoshita, Sho Iijima, Hiroyuki Kagawa, Kouji Kamimura, Mitsuo Nunome, Chigako Wakabayashi, Yushin Asari, Noriko Tamura and Pat Morris
掲載誌:Folia Primatologica-Mitigating the effects of road construction on arboreal Japanese mammals: benefits for both wildlife and people
発行年月:2022年8月5日

Evolutionary and anthropogenic factors affecting the mitochondrial D-loop genetic diversity of Apodemus and Myodes rodents on the northern slope of Mt. Fuji.

Abstract(概要)

Nucleotide sequences of the mitochondrial D-loop region were examined in three wild rodents (Apodemus argenteus, Apodemus speciosus, and Myodes smithii) on the northern slope of Mt. Fuji, the highest mountain in Japan, to elucidate the past evolutionary and present anthropogenic processes shaping their genetic diversity. Nucleotide diversity, median-joining network, and mismatch distribution analyses suggested that A. argenteus has multiple divergent lineages, possibly due to multiple previous expansion events, whereas A. speciosus and M. smithii are younger lineages that could be derived from single expansion events. These findings indicate that Mt. Fuji plays an important role as a reservoir maintaining lineages through multiple past expansion events. Artificial infrastructure also affected the genetic diversity of the two Apodemus species, as populations of these species on the two sides of the Fuji Subaru Line roadway were genetically distinct. To construct a proper conservation strategy based on genetic diversity, we suggest that the past and present contributors to genetic diversity must be clarified. Such clarification is especially important for the Mt. Fuji environment, which harbors rich biodiversity but also incurs much human impact as a national park.

© The Mammal Society of Japan

学会:日本哺乳類学会の英文誌
論文題目:Evolutionary and anthropogenic factors affecting the mitochondrial D-loop genetic diversity of Apodemus and Myodes rodents on the northern slope of Mt. Fuji.(富士山の北斜面におけるアカネズミとヤチネズミのミトコンドリアDループの遺伝的多様性に影響を与える進化的および人為的要因)
著者:Sato JJ, Aiba H, Ohtake K, Minato S(佐藤淳、饗場葉留果、大竹公一、湊秋作)
掲載誌:Mammal Study, 45(4):315-325 (2020). https://doi.org/10.3106/ms2020-0033
発行年月:2020年10月

ニホンヤマネの糞から非侵襲的に食性を分析する遺伝手法を開発

ニホンヤマネの糞を用いた種同定と食性プロファイリングのための非侵襲的遺伝手法 -「Noninvasive Genetic Methods for Species Identification and Dietary Profiling of the Japanese Dormouse Glirulus japonicus from Fecal Samples」

国の天然記念物であるニホンヤマネ(齧歯目ヤマネ科)の糞に含まれる餌生物種のDNAを分析することで、非侵襲的に食性を分析する手法を開発した。分析の結果、蛾、ハエ、カメムシ類ほか、多様な無脊椎動物、そしてサルナシをはじめとした多様な植物の主に果実を食べていることが明らかとなった。

論文題目:【PDF】ニホンヤマネの糞を用いた種同定と食性プロファイリングのための非侵襲的遺伝手法-「Noninvasive Genetic Methods for Species Identification and Dietary Profiling of the Japanese Dormouse Glirulus japonicus from Fecal Samples」
著者:Sato JJ, Matsuda H, Fujita H, Yasuda K, Aiba H, Minato S
掲載誌:Mammal Study
発行:日本哺乳類学会の英文誌
発行年月:2023年8月

紀伊半島の野生動物 - WILD ANIMALS OF KII PENINSULA

奈良県におけるニホンヤマネの確認地点と遺伝子分析 - Occurrence records of Glirulus japonicus in Nara Prefecture, Kii peninsula

本稿は、奈良県におけるニホンヤマネの分布と遺伝子分析について報告するものである。ニホンヤマネ (Glirulus japonicus 以後、ヤマネとする) は本州・四国・九州と隠岐の島(島後)に棲息するヤマネ科グリルルス属に分類される体重18グラム前後ほどの小型哺乳類である

論文題目:奈良県におけるニホンヤマネの確認地点と遺伝子分析 - Occurrence records of Glirulus japonicus in Nara Prefecture, Kii peninsula
著者:湊 秋作・ 饗場葉留果・ 柳川真澄・ 安田俊平・ 鳥居春己、関西学院大学 教育学部ニホンヤマネ保護研究グループ・ ヤマネ・いきもの研究所・ 東京都医学総合研究所奈良教育大学自然環境教育センター
S MINATO・  S YASUDA ・ H AIBA・M YANAGAWA and TORII H,Kuwansei Gakuin University, Faculty of Education ・Japanese Dormice Preservation & Research Group・Dormouse & Wildlife Institute・Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science Nara University of Education, Center for Natural Environment Education
掲載誌:紀伊半島の野生動物 第12 号(2019)【PDF】
掲載ページ:37-41
発行:紀伊半島野生動物研究会 (The Society of Researchers for Wild Animals in Kii Peninsula)
発行年月:2019年12月

聖和キャンパスでの昆虫調査と生物多様性の改善の試み ― 教員養成学部におけるキャンパスでの生物教育― Research into the status of insects in an attempt to improve biodiversity at Seiwa Campus ― Biology Education on Campus in the Faculty of Education ―

近畿圏の都市の一部である西宮市において、聖和キャンパスの生物を調査することは、都市の生物多様性を保全する上でも重要である。そこで、本研究の目的を3つ設定した。1つめは、生物多様性調査の一環として、聖和キャンパス内と樹上にいる昆虫相を調べること、2つめは、豊かな生物多様性の創生のために植栽した植物による昆虫種の増加について検証すること、3つめは、キャンパス内の植物を用いた教育の可能性を探ることである。

学会:関西学院大学教育学部
論文題目:聖和キャンパスでの昆虫調査と生物多様性改善の試み  ― Biology Education on Campus in the Faculty of Education ― 【PDF】
著者:湊秋作・藤原史郎・饗場葉留果・飯島昌
掲載誌:教育学論究 = Educational studies review / 教育学論究編集委員会 編
掲載ページ:99 - 106
発行年:2020年12月

仁川の基礎的調査と理科教育 ― 教員養成学部における川での基礎的調査と生物教育―
Basic Research and Science Education at the Nigawa River ― Basic Research and Biology Education on River in the Faculty of Education ―

人口の増加に伴う人類の地球環境への負荷はさまざまな形で表面化してきている。主なものは、大規模な伐採による熱帯降雨林の減少や化石燃料の大量消費などに起因するCO2 などの温室効果ガスの増加による温暖化、大気中の窒素酸化物や硫黄酸化物の増加による酸性雨、生活排水や工業排水による水質汚染、ポリエチレンなどプラスチックの野生生物に及ぼす悪影響などである。わが国においては人口の増加は頭打ちになり減少に転じているとはいえ、明治期以後の人口増加、戦中・戦後の高度経済成長期の森林破壊、大気汚染や水質汚染による公害等の環境問題が顕著になった。特に河川の水質汚染、汚濁はそこにすむ魚類をはじめその水流が流れ込む海の魚介類にも大きな影響を及ぼす。

学会:関西学院大学教育学部
論文題目:仁川の基礎的調査と理科教育 ― 教員養成学部における川での基礎的調査と生物教育―【PDF】
Basic Research and Science Education at the Nigawa River  ― Basic Research and Biology Education on River in the Faculty of Education ―
著者:飯島昌・妹尾佳奈・渡邊友樹・饗場葉留果・湊秋作
掲載誌:教育学論究 = Educational studies review / 教育学論究編集委員会 編
掲載ページ:107-117
発行年:2020年12月

理科と音楽科による合科授業の実践的試行 Practical trial of integrated‒subject instruction in science and music

異なるものを合わせることで、新しいものを産み出すことを試みた、合科的授業に関する論文です。湊が小学校教師の頃から実践し、今回は大学で実践しました。

教育学論究 第11号2 0 1 9 ”はじめに”より抜粋。

学校教育において目指している全人的な「生きる力」を児童に育んでいくためには、各教科等の特質に応じた資質・能力の育成を図っていくことと同時に、各教科等で身に付けた資質・能力を様々な場面で統合的に働かせることができるよう、知識と生活との結び付きや教科等横断的な視点を重視した教育を行っていくことが必要である。そのためには、教科等の目標や内容の一部について、これらを併せて指導を行ったり、関連させて指導を進めたりすることが効果的である場合も考えられる。

そこで本研究では、教育学部に在籍する学生を対象に理科と音楽科の合科授業の実践を試み、学生が理科と音楽科の接点や相違点をどのように捉えることができるのか、また、理科や音楽科に求められる授業構想に対してどのような見解を得たのか、ということについて明らかにし、将来教育現場にて合科授業を実践するための視点を、どのように育んでいくべきなのか、ということについて考察することを目的とした

学会:関西学院大学教育学部
論文題目:理科と音楽科による合科授業の実践的試行_2019【PDF】
著者:長島 礼・小松 裕幸・湊 秋作
掲載誌:教育学論究
掲載ページ:101 - 108
発行年:2019年12月

学会発表

企業対象の生物多様性・SDGs教育手法の開発と実施

学会:日本環境教育学会
発表者:中山孝志(ヤマネ・いきもの研究所研究員)
発表要旨【PDF】▷「企業対象の生物多様性・SDGs教育手法の開発と実施」

社会を取り巻く様々な環境課題がビジネスに大きな影響を与える現在「企業人材の育成」は、生物多様性主流化を図る上で大きな効果を持つため、「企業人対象の環境セミナー」を行った。本セミナーで目指す企業人材像を「持続可能な企業経営に資する人」「地域と地球社会の持続性について考える人」「多様な企業人とのネットワークを築ける人」とした。そのために育成する資質を 7 つに整理し、7 つのメソッド(体験×座学×ふりかえり×ICT×ワークショップ×アンケート×相談コーナー)を用い計 8 回実施した。

雑誌などへの寄稿記事