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第2回 【冬の生きもの観察会】

冬の生きもの観察会 20210314用北杜市観察会チラシ【PDF】

実施日

2021年3月14日(日曜)10時から11時まで

開催場所

オンライン(山梨県北杜市)

共催

ニホンヤマネ保護研究グループ、(一社)ヤマネ・いきもの研究所

協賛

北杜市環境基金公益信託 経団連自然保護基金/経団連自然保護協議会(一社)アニマルパスウェイと野生生物の会

内容

(1)自然観察会

北杜市周辺に生息する冬の「いきもの」を講師が紹介し、リモートで観察。

講師:ニホンヤマネ保護研究グループ会⾧ 湊 秋作、アニマルパスウェイ研究会 矢竹 一穂

(2) 質問コーナー

沢山の質問を頂きました。回答は以下をご覧ください。

第2回 【冬の生きもの観察会】質問と回答

第2回冬の生きもの観察会では、沢山の質問を頂きました。

時間の関係で、観察会中に答えられなかった質問についての回答は以下をご覧ください。

1. リスはなんで”とうみん”しないんですか?
【回答(矢竹)】

冬でもマツのタネなどの食べ物があり、土の中に貯えた(貯食)クルミなどの木の実も利用できます。

リスには夏毛と冬毛があって、冬毛は夏毛に比べて、 温かい・ふわふわな毛皮に生え変わるので、

寒さに耐えられるのだと思います。

2. ヤマネが冬眠する理由も知りたいです
【回答(湊)】ヤマネの食べ物は、アケビやサルナシのような柔らかい木の実や花です。

また、ガやアブラムシなどの昆虫です。これらの食べ物が冬にはない地域では 眠って、

食べ物をない時期を生きぬくことになります。また、これらの食べ物の 共通点は「くさる」ので

保存がききません。リスの食べるドングリは 保存が できるのです。

3. 春以降に行けばヤマネやリスを見ることはできるのでしょうか?
【回答(湊)】八ヶ岳のヤマネは、今も冬眠中です。

春になっても みることは 非常に困難です。 それは、ヤマネは夜行性で体重18グラムと小さく、

しかも、木の上で生活しているからです。

【回答(矢竹)】リスは冬眠せず冬も活動するので、今(3月)も、一年中見ることができます。

朝早い時間から活動を始めます。暑さは苦手のようで特に夏は朝早くから活動して、

暑い昼間は涼しい木の上で休んでいることが多いです。

リスは見て探すほかに、カサカサ:木の幹を移動する音、

カリカリ・ギリギリ:クルミや マツボックリを齧る音から見つけることもよくあります。

特にクルミやマツボックリは 枝などに座って齧るので、

そこから食べ跡(食痕)がポトリと落ちてきますよ。

4. リスは,自分のねぐらをあちこちに持っているということでしょうか。
それとも,リス同士で巣をシェアし合っているのでしょうか?
【回答(矢竹)】リスはねぐら(巣)をいくつか持っています。

夜は巣に入りますが、毎日同じ巣に帰るわけではなく、日によって違う巣を使うこともあります。

また、リスは普通は1頭で生活していて(つがい形成や仔育ての時期以外)群れにはなりませんので、

巣をシェアしていることはありません。

5. リスが頭を下にして木に張り付いている姿をよく見かけるのですが、なぜですか?
【回答(矢竹)】鋭いツメを持っていて、木の幹を登ったり下ったりすることができます。

張り付いている時は警戒している時が多いです。警戒してピタッと動かないで

(フリーズって言いますよね)様子を伺っているのでしょう。

6. リスややまねはやこうせいですか?
【回答(湊)】リスは昼間に活動し、ヤマネは夜、動きます。

ツバメは、昼間、コウモリは 夜に活動します。同じ場所で生きていても

時間帯をずらしているのでいろんな動物(多様な動物)がすむことができるのです。

【回答(矢竹)】リスは夜行性ではなく、昼間活動する昼行性(ちゅうこうせい)です。

でも朝早く少し暗い時間から活動することが多いです。 時間帯をずらしているので

いろんな動物(多様な動物)がすむことができるのです。

7. リスは,どんぐりは食べますか?質問です。
【回答(矢竹)】リスはドングリを良く食べるイメージがありますね。

外国のリスの中にはドングリが主食の種類もいますが、ニホンリスはあまり食べません。

ドングリにも色々種類がありますが、特に北杜市でよく見られるコナラという落葉広葉樹のドングリはほとんど食べません。

千葉県などもう少し暖かい所にあるスダジイ、アカガシ(常緑広葉樹)のドングリはよく食べます。

コナラのドングリは「タンニン」という苦い成分を多く含んでいて、これがリスの体に良くないと言われています。

また、ドングリは秋に実りますが、たくさん実る年・ほとんど実らない年(豊作・凶作)があります。

これに対して今日紹介したマツのタネは一年を通して利用され、安定した食べ物と言えます。

8. リスの耳は、どれくらい遠くまで聞こえますか ?
【回答(矢竹)】難しい問題です。

距離を測ったことがないので、わかりません。ごめんなさい。

北海道のキタリス(エゾリス)について、ヒトがどれだけ近づいた時に逃げるか、

距離を測った研究があります。 これによれば、田舎のリスでは平均して19mで逃げてしまいましたが、

街中のリスでは6mくらいまで近づくことができたそうです。

逃げるために音(匂いも?)に気が付く距離として参考になると思います。

ただし6mという距離はかなり近くて、かなりヒトに馴れているように思います。

逃げる距離なので当然19mより遠い距離で気がついていると思います。

また、エゾリスは札幌などの街中の公園でも見られますが、ニホンリスはなかなか街中の公園にはいません。

もっとヒトへの警戒が強く、もっと遠くから音が聞こえていると思います。

9. やまねとりすの歯は何本づつですか?
【回答(矢竹)】リスの歯は全部で22本。ヤマネは20本、ヒトは32本。

歯は歯式という片側の上下の歯の名称(I: 切歯、C:犬歯、P:小臼歯、M:大臼歯)と 本数と総数を示した式で表されます。

前の方から門歯(前歯)から奥歯と言った感じです。

リス I1/1、C0/0、 P2/1、M3/3=22(合計11本の両側)

ヤマネI1/1、C0/0、 P1/1、M3/3=20(合計10本の両側)

ヒト I2/2、C1/1、 P2/2、M3/3=32(合計16本の両側)

ヒトと比べてどうでしょう、リスとヤマネにはC(犬歯)がありません。

食べ物の関係で肉をかみ切るような犬歯は要らないためです。

イヌやネコの仲間は肉が主食なので犬歯が大きく、発達しています。 その代わりリスのI(切歯)は大きく、

硬いクルミの殻も齧って割ってしまうほどです。

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