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🗾国の事例集に「アニマルパスウェイ」が掲載されました!🐿️

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🗾国の事例集に「アニマルパスウェイ」が掲載されました!🐿️

🌏1997年からの取り組みが大きな成果に

私たちは、道路によって分断された森を再びつなぐため、森林動物の安全な移動経路であるアニマルパスウェイの開発と普及に1997年から取り組んできました。

ヤマネ研究者をはじめ、大成建設・清水建設・戸田建設、日建連、NTT東日本、有志の方々、アニマルパスウェイ研究会アニマルパスウェイと野生生物の会の皆さまとともにいつか国の事例集に掲載される日を目指そう」と話し合ってきた長年の目標が、ついに実現しました!

 

掲載された事例集

・発行:国土交通省 道路局 環境安全・防災課
・名称:道路分野における ネイチャーポジティブの取組事例集(令和7年2月)
・URL:https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/utilization/pdf/nature-positive.pdf

本事例集には、小動物の脱出構造や移動経路の確保策、在来種保全、生息地の創出など、全国のさまざまな事例が掲載されています。
その中で、「② 動物の安全な移動経路の確保策」アニマルパスウェイが掲載されました。

アニマルパスウェイ2つの事例

岩手県・盛岡北道路ニホンリスの安全な移動のためにアニマルパスウェイを設置し、モニタリングで利用を確認。
三重県・熊野尾鷲道路ヤマネを対象にアニマルパスウェイを設置。植栽による生息環境の整備を行い、ヤマネやヒメネズミの利用が確認されました。

アニマルパスウェイ開発者の声

日本の道路総延長約128kmのうち、森林などで分断されているすべての箇所にアニマルパスウェイを設置する——。
そんな夢を抱いて21年、多くの皆さまのご支援・ご協力のもと歩んでまいりました。
今回、国交省のネイチャーポジティブ事例に取り上げられ、初めてアニマルパスウェイを渡るニホンリスを肉眼で目撃したときの感動が、改めてよみがえります。これを機に、全国へのさらなる普及が進むことを心から期待しています。

大竹 公一(元「アニマルパスウェイと野生生物の会」事務局代表)

私たちは『野生動物のロードキル』(東京大学出版会, 2023年)で、道路におけるネイチャーポジティブへの方向性を示しました。
アニマルパスウェイをはじめとして、動物移動施設がネイチャーポジティブとして認知されたことはとても喜ばしく、これからの野生動物の保全に向けた新たな一歩と感じています。これからロードキル対策としてだけではなく、道路緑地を活用した既存の野生動物の保全から新たな取り組みへの展開が楽しみです。

園田 陽一(道路生態研究会代表幹事/博士(農学)・博士(社会工学))

アニマルパスウェイが『道路分野におけるネイチャーポジティブの取組事例集』に掲載されたことは、大きな一歩であり、意義深いことです。
2024年に環境省など4省庁連名で取りまとめられた「ネイチャーポジティブ移行戦略」では、「参考資料集」が発行され、この中で、ネイチャーポジティブ経済への移行が生み出す新たなビジネスチャンスの例として、アニマルパスウェイが取り上げられましたが、今回道路分野に特化し、「アニマルパスウェイ」がネイチャーポジティブの文脈で取り上げられたことは、大きな意義があると考えます。

ネイチャーポジティブを実現する上で重要な手法・考え方に「グリーンインフラ」があります。国土交通省が策定した「グリーンインフラ推進戦略2023」では、グリーンインフラとは「社会資本整備や土地利用等のハード・ ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・ 都市・地域づくりを進める取組」とされています。アニマルパスウェイは「自然環境」ではありませんが、道路による動物への影響を低減するほか、利用対象動物の一種であるニホンリスは、植物の種子を貯食することで森林の更新に貢献することが知られるなど、ソフトの面でグリーンインフラの要件を満たすと言えるでしょう。実際、EUが2013年に発行した「Building a Green Infrastructure for Europe」では、野生生物の移動を支援したりする人工物は、グリーンインフラの潜在的な構成要素であるとしています。

線的なインフラによる分断影響を緩和し、エコロジカル・ネットワークを形成することは、野生生物の生息環境の保全、人と自然とのふれあいの場の提供のみならず、環境教育及びそれを通じた生物多様性に向けた行動変容など、多面的な機能が発揮されることが期待されます。こういった意味で、アニマルパスウェイは、グリーンインフラの一要素として、今後ますます非常に重要な役割を果たすものと期待しております。

小松 裕幸(清水建設/農学学士)

関係者の皆さまへの感謝

この成果は、これまで関わってくださった多くの研究者、企業、行政関係者、有志の皆さまの努力と継続のたまものです。心より感謝申し上げます。

 

これからの展望

私たちはこの成果を新たなスタートとして、さらなる普及と改善に向けて取り組んでまいります。
今後も応援やご意見をぜひお寄せください。

 

参考リンク

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