ヤマネや樹上動物のためのアニマルパスウェイの開発と普及
森を貫く道路は、人の移動を便利にする一方で、
ヤマネやリスなど、木の上を「道」として暮らす動物たちの移動を分断してしまいます。
餌場へ行くこと、巣をつくること、仲間や異性と出会うこと――
それらが妨げられることで、個体の生存だけでなく、
地域全体の遺伝的多様性にも影響が及びます。
そのため、森を分断する道路には、
動物たちが安全に渡るための「歩道橋」が必要です。
それが アニマルパスウェイ や ヤマネブリッジ です。
- アニマルパスウェイ
- アニマルパスウェイ
- ヤマネブリッジ
科学に基づき、各地で積み重ねてきた取り組み
ヤマネ・いきもの研究所では、
日本固有種で国指定天然記念物でもあるヤマネを守る具体的な方法として、
1997年から ヤマネ・いきものトンネル、ヤマネブリッジ、
アニマルパスウェイ の開発・提案・普及に取り組んできました。
山梨県、三重県、栃木県、岩手県、和歌山県など各地で、
科学的調査を基盤に官公庁と連携し、
試行錯誤を重ねながら実際の建設へとつなげてきました。
また、これまでに蓄積したアニマルパスウェイの設計知見を
依頼のあったイギリスの自然保護団体へ提供したところ、
ヨーロッパヤマネが実際に利用する様子がBBCで放送され、
約600万人が視聴したと報告を受けています。
- 夜のアニマルパスウェイを渡るヤマネ(イメージ)
- アニマルパスウェイを渡るリス(連結イメージ)
- アニマルパスウェイを渡るリス
- ミエノワ・アニマルパスウェイ
国レベルでの評価と掲載が進んでいます
長年の取り組みの中で、
私たちの目標の一つは、
国レベルの資料でアニマルパスウェイが紹介され、全国に普及する流れをつくることでした。
最近、その動きが具体的な形となってきました。
1.道路分野におけるネイチャーポジティブ事例集への掲載(2025年2月)
国土交通省 道路局 環境安全・防災課
「道路分野におけるネイチャーポジティブの取組事例集」(令和7年2月)
・P13:アニマルパスウェイ
・P21:ミエノワ・アニマルパスウェイ
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/utilization/pdf/nature-positive.pdf
2.グリーンインフラ事例集への掲載(2025年3月)
グリーンインフラ官民連携プラットフォーム
企画・広報部会
「グリーンインフラ事例集」(令和7年3月)
私たちが提案してきた ヤマネブリッジ が掲載されました。
3.国土技術政策総合研究所(国交省)資料への掲載(2025年3月)
国土交通省 国土技術政策総合研究所
「環境保全のための取組事例集(令和6年度版)」
第13章「動物・植物・生態系」
・4-2 哺乳類
17–22:アニマルパスウェイ
31–39:ミエノワ・アニマルパスウェイ
https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1319.htm
森と人が共に生きる社会を目指して
私たちの願いは、
信号や横断歩道があるように、森を渡る動物たちのための「歩道橋」が当たり前にある社会です。
人知れず樹上で暮らすヤマネやリス、昆虫たちが、
安全に森を行き来できる――
そんな共生の風景を、日本各地で実現したいと考えています。
現在は、富士山地域でのアニマルパスウェイ建設を目指し、
巣箱調査や発信機調査など、基礎的な取り組みを進めています。
応援ありがとうございます
これまでの活動は、多くの方の理解と応援に支えられてきました。
心より感謝申し上げます。
これからも、森と動物、人がともに生きる未来に向けて、
一歩ずつ取り組みを続けていきます。
引き続き、ヤマネ・いきもの研究所の活動を
温かく見守っていただければ幸いです。






